コラム COLUMN
視界クリア!角膜内皮細胞が維持する目の健康
2023.10.02
スタッフ
こんにちは。おおうら眼科です。
今回は角膜内皮細胞についてお話します。
物を見るとき、私たちはクリアにきれいに見えますよね。それは「角膜」と呼ばれる黒目の部分が透明な構造をしているからです。
黒目なのに透明ってどういうこと!?と思いましたか?
黒目が黒くみえるのは、角膜よりも奥にある組織が、透明な角膜を通して黒く見えるからです。
ですので、角膜=黒目自体は透明な組織なのです。
この角膜の中で、私たちの視力の鮮明さを保つための重要な役割を果たしているのが「角膜内皮細胞」です。黒目の一番内側にある細胞になります。
この角膜内皮細胞は、一度減少すると二度と再生されません。ですので、減少させないように角膜内皮細胞を守ることが大事になってきます。
大事な角膜内皮細胞を守るために、まずは基本的な役割から見てみましょう。
角膜内皮細胞の役割と機能
1. 角膜の透明性を維持
前述でも述べた通り、角膜内皮細胞は角膜の最も内側に位置しています。その主な役割は、角膜の水分量を適切に保つことです。これは、角膜が過度に水を吸収しないようにするためです。もし角膜が多くの水を吸収すると、その透明性が失われ、私たちの視力はぼやけることとなります。
2. ポンプ機能
角膜内皮細胞は、角膜組織から余分な水分を排除するポンプの役割も果たしています。このポンプ機能が正常に働くことで、角膜は透明で健康な状態を維持することができます。
3. 一度失われたら…
角膜内皮細胞は、成人になると増えることはほとんどありません。一度細胞が失われると、残りの細胞がその場所を埋めるために拡大します。このため、細胞の数が大幅に減少すると、角膜が持つポンプ機能が低下し、視力に影響が出る可能性があります。
角膜内皮細胞は、私たちの視力を鮮明に保つための非常に重要な部分です。
これらの細胞を健康に保つためのケアや注意点をみていきましょう。
ソフトコンタクトレンズの使用と角膜内皮細胞への影響
「角膜内皮細胞」は、視力の透明性と鮮明さを維持するためのキープレイヤーです。そんな角膜内皮細胞に、ソフトコンタクトレンズの使用がどのような影響を与えるのか、考えてみましょう。
1. 酸素供給の制限
ソフトコンタクトレンズを装着すると、角膜への酸素供給が制限される可能性があります。酸素は角膜の健康を維持するために必要で、特に角膜内皮細胞はその供給を必要としています。長時間のレンズ使用や、透酸素性が低いレンズの使用は、角膜にストレスをもたらすことがあります。
2. レンズの不適切なケア
レンズの清潔さは極めて重要です。汚れたレンズや古い保存液を使用することは、角膜感染のリスクを増加させる可能性があります。また、コンタクトレンズ自体が酸素を通す力(酸素透過性)も低下し、角膜内皮細胞がダメージを受けやすくなります。
3. フィット感の重要性
ソフトコンタクトレンズのフィット感は、角膜への適切なフィットを意味します。不適切なフィットのレンズは、角膜への摩擦を引き起こす可能性があり、これが角膜内皮細胞のダメージにつながることもあります。
安全なレンズの取り扱いで守る、健康な角膜内皮
ソフトコンタクトレンズは、多くの人々にとって視力を補正する便利な道具です。しかし、不適切な取り扱いや管理は、角膜、特に角膜内皮細胞へのダメージを招きます。もう一度正しいソフトコンタクトレンズの使用方法を見直してみましょう。
1. 手洗いは欠かさずに
レンズを取り扱う前には、必ず手を石鹸でしっかりと洗い、乾燥させましょう。手に付着した微生物や異物がレンズを通じて目に入ると、感染症や炎症の原因となることがあります。
2. レンズの保存液を毎回新しいものに交換(2WEEKや1Monthを使用されている方)
レンズケースに入れる保存液は、毎回新しいものを使用しましょう。古い保存液を再利用することは、細菌や真菌の繁殖の原因となり得ます。
ソフトコンタクトレンズを水道水でレンズを洗うことも絶対にやめてください。アカントアメーバーによる角膜炎になる可能性が高まります。有効な治療法がなく、最悪の場合失明もする病気であるため、注意してください。
レンズを保存するケースも1か月に1回は交換してください。
レンズケースは毎日水道水できれいに洗浄し、乾燥を必ずさせてください。水分が残ってしまうと、アカントアメーバが繁殖しやすくなります。
3. 定期的なレンズの交換
ソフトコンタクトレンズには使用期限があります。1日使い捨て、2週間交換、1ヶ月交換など、指定された期間を過ぎるとレンズの品質が低下し、感染症のリスクが増加します。
4.酸素透過性の高い素材を選ぶ
最近、酸素をよく通すソフトコンタクトレンズが増えてきました。酸素透過性の高いレンズを使用することで、角膜内皮細胞のダメージを軽減させることができます。しかし、付け心地が良いあまり付けたまま寝てしまったり、不適切な使用方法をされる方も増えてきています。それでは内皮細胞はどんどん減ってしまいます。酸素透過性の高いレンズでもお手入れはきちんとしましょう。
酸素透過性の高いレンズは、当院でも取り扱いがございます。
気になる方はお気軽にお声がけください。
6. 眼の不調を感じたらすぐにレンズの使用を中止
もしレンズ使用中に目の痛み、充血、異物感などの不調を感じたら、すぐにレンズを外し、必要に応じて眼科医に相談しましょう。
まとめ
いかがでしたか?眼は寝ているとき以外毎日使うもの。見えるために使用していたコンタクトによって見えなくなることは避けたいですよね。
ソフトコンタクトレンズの種類や使用方法を今一度見直してみませんか?
酸素透過性の高いソフトコンタクトレンズを試したい方は、一度当院へお越しください。
コンタクトレンズ処方