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コラム COLUMN

「緑内障に効く」サプリメントは本当に効くのか?

2024.10.21

ドクター

こんにちは。おおうら眼科院長の大浦嘉仁です。
緑内障は日本の失明原因の第1位であり、どこの眼科にも多くの緑内障の患者様が通院されています。緑内障はなってみるまではあまり聞きなじみがないかもしれませんが、有病率は5%ほどあり、年齢が上がるにつれてさらに有病率はあがって、高齢者では約10%程度になるので、それほど珍しい病気ではありません。

インターネットでも緑内障の治療についての情報があふれていますが、医学的知識がないと何が正しいのか分からないことと思います。眼科医である自分でさえ、ネットで検索してみても、それが本当に正しい情報なのか、どの程度の効果があるのか分かりにくいなーと感じます。

緑内障に関するサプリメントなど、点眼薬などの標準治療以外のものを求められる患者様も多いのではないでしょうか。それはひとえに緑内障という病気が、「生じた視野障害を改善させる方法がない、眼圧を下げる以外に有効な治療法がない」ということに起因していると思います。

緑内障の治療は、「緑内障の進行を予防すること」であり、本当の意味での現状を改善させる、すこしでも視機能を改善させるものではないからです。

なので、サプリメントにおいても「緑内障に効く」といってもまず、「視機能(視野)を回復させる」ものは今の眼科界のコンセンサスとしては明確には存在しません。
それではなぜサプリメントを内服するかというと、点眼薬などの「眼圧を下げる」ということのみでは「緑内障の進行を完全に止めることができない」ことがあるからです。

緑内障という病気を知るにつれ、「少しずつ視野障害が進行して将来失明するかもしれない」という不安がどうしても大きくなってしまいます。そのなかで、自分自身でできることはないかということでサプリメントを内服する方も多いと思います。

国内でよく知られているサプリメントとしては、参天製薬の「グラジェノックス」や わかもと製薬の「オプティエイドGL」があります。ふたつのサプリメントに共通する考え方としては抗酸化作用による神経保護効果が考えられます。酸化ストレスが老化や病気の発症のメカニズムの一因となることは知られて久しく、2008年にその研究でノーベル賞が与えられています。緑内障の基礎研究では神経細胞死の抑制として酸化ストレスマーカーをその指標とすることも多いため、実験レベルでは効果的であることは分かっています。

「グラジェノックス」の主成分である物質は、まず先にフランスで2008年にグラジェノックスの同成分を人間に投与したときに眼圧下降効果や緑内障の進行予防に効果があることが報告され(1)、実際、日本においても島根大学によってグラジェノックス内服による人間における同様の効果を2021年に論文で報告しています(2)
「オプティエイドGL」については動物実験レベルでは眼圧下降効果があるものの、人間においては確認されておりません。しかしながら、眼血流の増加や抗酸化物質の減少による神経保護効果が人間においても確認されています(3)

サプリメントの効果の評価には長い年月がかかるため「絶対これだ」とわかりやすく薦めることのできるものはなく、それほどの効果があれば医薬品になるので、過度の期待は禁物です。ただ、酸化ストレスを予防することは緑内障だけでなく、体にとっても良いことです。

例として、美容に興味のある患者様がオプティエイドGLを内服されてからお肌の調子が良くなったという感想もいただいており、個人の感想ではありますが、一考の価値はあると思います。実際、今流行りの若返りサプリメントと言われているNMN(ビタミンB3の主成分)についても、緑内障に対して一定の効果があるという論文があります(4)

よって、眼科医としては、患者様の自己責任にはなりますが、「緑内障の患者様が上記2つのサプリメントを飲んだほうがいいか」という問いには、「体や経済的に大きな負担がなければ飲んだほうが良い」と思います。

おおうら眼科は一人ひとりのお悩みに丁寧にお答えします。

当院では、さまざまなケースに対応できるよう患者様に治療の選択肢をご提示しております。各治療のメリット・デメリットをしっかりとご説明させていただき、ご理解いただいてから治療を行っております。
どんな些細なことでも不安や心配なことがございましたら、お気軽にお尋ねください。

受診予約は右側にある「受診予約」から!(スマートフォンでご覧の方は下部に御座います。)
ご予約の方が優先になりますが、ご予約無しの方でも受付させていただきます。

大阪市淀川区・阪急三国駅から徒歩約2分の眼科「おおうら眼科」では、眼科全般の診療を行っています。

院長は、これまで大学病院やさまざまな症例に関わり、多くの手術を手がけてきました。
これまでの臨床経験で得てきたノウハウを用いてそれを可能な限り実現し、患者様に満足していただけるように最大限努めています。

おおうら眼科では眼科全般の対応はもちろん、白内障、網膜硝子体、緑内障の極小切開の手術が受けることが出来ます。クリニック内で行うことで術後のフォローやケアも一貫して行なえます。その他、小児の斜視や弱視の治療にも注力しています。

参考文献

(1) Steigerwalt D R. et al. Effects of Mirtogenol on ocular blood flow and intraocular hypertension in asymptomatic subjects Mol Vis. 2008 Jul 10:14:1288-92.
(2) Manabe K. et al. Effects of French maritime pine bark/bilberry fruit extracts on intraocular pressure for primary open-angle glaucoma. J Clin Biochem Nutr. 2021 Jan;68(1):67-72. doi: 10.3164/jcbn.20-50. Epub 2020 Jul 10.
(3) Himori N et al. The Effect of Dietary Antioxidant Supplementation in Patients with Glaucoma Clin Ophthalmol. 2021 Jun 2:15:2293-2300. doi:10.2147/OPTH.S314288. eCollection 2021.
(4) Hui F et al. Improvement in inner retinal function in glaucoma with nicotinamide (vitamin B3) supplementation: A crossover randomized clinical trial Randomized Controlled Trial Clin Exp Ophthalmol. 2020 Sep;48(7):903-914. doi: 10.1111/ceo.13818. Epub 2020 Jul 28.

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