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コラム COLUMN

生活習慣と緑内障

2024.10.10

ドクター

太っていたほうが緑内障はわずかに進行しにくい、でも血圧は低いほうがよっぽど良い

こんにちは。おおうら眼科院長の大浦嘉仁です。今回は最近出た興味深い論文のレビューがありましたので、ご紹介いたします。

Duke大学(アメリカ)の研究で、緑内障の患者1584人を対象に喫煙歴、飲酒歴、BMI(body mass index, 肥満度の指標)と緑内障の進行の関連を調べた研究結果の報告がありました。その論文の中では、BMIが高い(太っている)人のほうが、そうでない人より緑内障による神経線維欠損が少なく、逆にやせているひとは進行が速かった、またタバコやアルコール歴は緑内障の進行に影響がなかったとのことでした(1)。その神経保護効果BMIが1増えるごとに神経の厚みの減少が1年あたり0.014μm抑制されるとのことでした。

うーん。これってどうなんでしょうね。おなじところからの報告で、血圧に関するものがあります。後ろ向きコホート研究で血圧に関する約15万人の患者から緑内障確定または疑い患者3976例7501眼を対象にした血圧(平均血圧、収縮期血圧:血圧の上のほう、拡張期血圧:血圧の下のほう)との関連をしらべたところ、平均血圧と収縮期血圧が高い患者は緑内障の進行が速かったとあります(2)。追跡期間中の平均眼圧で調整したところ、平均血圧、平均拡張期血圧の10mmHgの変化はそれぞれ0.06μm/年、0.08μm/年の経時的な網膜神経線維層の厚み変化(神経の減る速度)の増加と関連したともありました。年間の平均減少率が0.70μm/year、もともとの神経線維層の厚みがだいたい100μmです。

この2つを比較すると。BMIが大きい(太っている)ほど有意であるといった減少量は0.014μm/yearで、血圧を10mmHg下げたときの0.06-0.08μm/yearという年間減少率の10%程度の影響力におよばないので、「緑内障だから太ったほうがいいのかー」といって、油ものなどや塩辛いものをバクバク食べて、太って血圧が上がるほうがよっぽど悪影響ですね。なかなか腹いっぱい食べて治すなんて方法はなく、体にいいことは目にも良いという王道を貫くほうが、何かと目にもよさそうであるという感想です。

おおうら眼科は一人ひとりのお悩みに丁寧にお答えします。

当院では、さまざまなケースに対応できるよう患者様に治療の選択肢をご提示しております。各治療のメリット・デメリットをしっかりとご説明させていただき、ご理解いただいてから治療を行っております。
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大阪市淀川区・阪急三国駅から徒歩約2分の眼科「おおうら眼科」では、眼科全般の診療を行っています。

院長は、これまで大学病院やさまざまな症例に関わり、多くの手術を手がけてきました。
これまでの臨床経験で得てきたノウハウを用いてそれを可能な限り実現し、患者様に満足していただけるように最大限努めています。

おおうら眼科では眼科全般の対応はもちろん、白内障、網膜硝子体、緑内障の極小切開の手術が受けることが出来ます。クリニック内で行うことで術後のフォローやケアも一貫して行なえます。その他、小児の斜視や弱視の治療にも注力しています。

参考文献

(1) Asamaa A Y et al. Social history and glaucoma progression: the effect of body mass index, tobacco and alcohol consumption on the rates of structural change in patients with glaucoma. Br J Ophthalmol. 2024 :bjo-2023-323186. doi: 10.1136/bjo-2023-323186.
(2) Alessandro A et al. Blood Pressure and Glaucomatous Progression in a Large Clinical Population. Ophthalmology 2024,Volume 129, Issue 2, 161-170

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