コラム COLUMN
瞳孔を広げる眼底、嫌なんだけど必要?
2024.11.28
ドクター
必要です。診断精度が違います!
こんにちは。おおうら眼科の大浦嘉仁です。
眼科へ通院したことがある方はご存じかもしれませんが、糖尿病網膜症などの網膜の病気がある人は診察時に目薬をして瞳孔を開いて行なう精密眼底検査というものがあります。
簡単な眼底検査の場合、瞳孔を開かなくてもできますが、網膜全体を確認する必要がある場合は必須の検査になります。
瞳孔を開くことを業界用語で「散瞳」といいますが、散瞳すると光が必要以上に入ってくるためにまぶしく感じたり、ピント調節機能が一部麻痺するためにぼやけて見えます。
目薬の効果は3~5時間あるので、その間はぼやけて見えるため自動車の運転を控えていただく必要があります。
散瞳すると上記の一時的な不具合があるため、視力障害がある人はさらに見えにくくなる、忙しい人は移動や仕事に支障をきたす場合があり、散瞳のお願いをしても断られるケースもあります。
ただ一つ覚えておいてほしいことは、散瞳検査は病気を早期発見して疾病を予防できる自分自身にとって長期的なメリットがあるから行うということです。
糖尿病網膜症に関する2024年の報告で、散瞳したほうが医師による診察においても、機械による検査でも制度が20~30%向上するという報告があります(1)。
糖尿病網膜症は、検診などで使用することもある瞳孔を開かなくても撮影できる無散瞳眼底カメラでもわかる場合がありますが、初期変化は網膜中心に限りません。また白内障や角膜に異常があるときれいにうつらない場合があり、検査困難な場合があります。
瞳孔を開くことで、診察者の視界が広がり、光も十分に眼の中を照らすことができるため眼の中を広範囲に観察できます。近年では広角眼底カメラという優れものがあり、それでかなり広い範囲の写真撮影ができるようになりました。さらに画像を補正することで診断技術が格段に向上しています。
ただ機械の値段が高い上、それに見合った診療報酬がないため、そのような器械を導入している施設は多くはありません。先の報告では、診断技術は、無散瞳の医師の診察<無散瞳のやや広角の眼底カメラ<散瞳して医師の診察=散瞳してのやや広角眼底カメラとなっています。
そもそもなぜ眼科に定期通院するかということを考えると、自分の病気を未然に予防する目的があるのではないでしょうか?
通院することは、自分が時間とお金と通院する労力を代価として払うことで、自身の健康を管理し、未来に起こるかもしれないよくないこと、すなわち病気による活動の制限や大きな金銭的代償を払わなくて済むということだと思います。
頭ではわかっていても散瞳したくないという思考の中には、楽して短期的な報酬を得たいという心も少しはあるのかと思います。自分の健康管理をするにあたって、通院をすることをもっとも効果的にするために、散瞳するのがよいのか、自分の将来と合わせてよく考えてみてもよいかと思います。
よくわからない、どのぐらいの検査を受けたらいいのか不安という方はぜひおおうら眼科に相談に来てくださいませ。ありがとうございました。
参考文献
(1) J. Yun et al.Dilation Before Automated Diabetic Retinopathy Screening Performed in the Primary Care Setting. The Annals of Family Medicine July 2024, 22 (4) 356; DOI: https://doi.org/10.1370/afm.3133
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大阪市淀川区・阪急三国駅から徒歩約2分の眼科「おおうら眼科」では、眼科全般の診療を行っています。
院長は、これまで大学病院やさまざまな症例に関わり、多くの手術を手がけてきました。
これまでの臨床経験で得てきたノウハウを用いてそれを可能な限り実現し、患者様に満足していただけるように最大限努めています。
おおうら眼科では眼科全般の対応はもちろん、白内障、網膜硝子体、緑内障の極小切開の手術が受けることが出来ます。クリニック内で行うことで術後のフォローやケアも一貫して行なえます。その他、小児の斜視や弱視の治療にも注力しています。