コラム COLUMN
黒目に白目がかぶさってきている―翼状片かも?
2024.10.31
ドクター
こんにちは。おおうら眼科院長の大浦嘉仁です。
黒めに白目が入り込んできている、かぶさっていることに気が付いて受診される方がいます。
またはその部分(鼻側が多い)の充血が気になって受診される方も多くいらっしゃいます。
鼻側から白目が侵入している、その部分が通常の白目より盛り上がっていたり、充血している場合、「翼状片」が考えられます。
翼状片とは結膜(白目)の下の細胞(線維芽細胞)が異常増殖して、角膜(黒目の部分)へ入り込んできたために生じたものです。結膜は巻き込まれて角膜へ入ってきます。結膜には血管が豊富であり、そのため本来血管のない部位の角膜にその結膜が入るため黒目の部分が充血したように赤く見えるわけです。翼状片はふくれてこぶのようになっていますが、決して悪性のものではありません。
翼状片は鼻側から角膜中央部に向かって増殖するので、翼状片がある方向に角膜が引っ張られることで、角膜のひずみが生じます。角膜がひずむと、眼の形がきれいな球形でなくなるので、それによって見え方が悪くなります(角膜乱視)。翼状片による乱視はある程度は眼鏡の乱視レンズで矯正されますが、きれいにひずむわけではないので(角膜不正乱視)、翼状片による乱視で視力低下が出現します。乱視がひどくなった場合や、翼状片がさらに進行して黒目(角膜)の中央にまで進行すれば視力は大幅に低下します。
翼状片の手術のタイミングですが、まず、角膜中央部に近づいている場合は早急に手術をすることが望ましいです。
理由として、翼状片を切除しても、くっついていた部分の瘢痕が角膜に濁りとしてそのまま残ることが多く、切除しても視力改善が思わしくないことがあるからです。
また白内障を有していて、視力が落ちてきている人も早めの手術をお勧めします。白内障を手術するときに翼状片による乱視があると、眼内レンズ度数のずれの原因になったり、白内障手術をしても思ったような視力改善効果が得られないことがあるからです。
翼状片の手術をして角膜が安定するには最低1か月はかかるので、免許更新などを控えている場合は、前もって手術計画を立てていきましょう。
翼状片があると、眼が充血しがちになるので、美容的な観点から手術を希望される人もいます。切除によって結膜の充血は手術前よりはましになりますが、場合によっては、結膜遊離弁の充血が残ることがあるので、よっぽどひどい場合でなければ、そのまま置いておいたほうが良い場合もあります。
治療は、目薬などの薬剤では治すことはできないので、手術によって取り除きます。
手術時間は20分程度です。現在の主流は、翼状片を切除ののち、上方の健常な結膜上皮を切り取って翼状片の部分に移植する「遊離結膜弁移植」になります。この方法で90%以上は初回手術で治ります。
以前は再発予防のために抗がん剤であるマイトマイシンCを切除した部分に塗布する方法がありましたが、現在ではその処置をしなくても、遊離結膜弁移植のみで初発の翼状片では良い成績が得られています。
ただ何度も再発を繰り返すような再発翼状片に対しては、マイトマイシンCを使用したり、羊膜移植をして治療します。羊膜移植は角膜分野を専門的に扱う機関(大学病院など)でないと容易に行うことができないので、難治例はそのような機関に紹介し受診して頂くことになります。
以上、翼状片について説明しました。受診のポイントとしては充血がひどい場合、翼状片が目立ってきた場合は眼科を受診して、一度現状の評価をして、このまま放置してよいのか、治療に進むのかを検討したほうが良いと考えます。
これまでの文章を読んで、気になることがあるようでしたらぜひ当院を受診してください。ありがとうございました。
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