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いびきをかいている緑内障の人は要注意!睡眠時無呼吸症候群(SAS)は緑内障を悪化させる

2026.02.19

ドクター

緑内障というと「眼圧が高い病気」という印象を持つ方が多いかもしれません。しかし、実は眼だけでなく全身の状態が視神経の血流や酸素供給に深く関わっています。

その中でも近年特に注目されているのが 睡眠時無呼吸症候群との関連です。睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が繰り返し止まることで体内の酸素が低下します。体が“夜のあいだ中、低酸素状態にさらされる”ことで、視神経へ送られる血流にも悪影響を及ぼすことが知られています。

睡眠時無呼吸症候群と緑内障の疫学研究として、Nagasakiらによる “The Nagahama Study(Annals of the American Thoracic Society)” があります。約8,300名を対象にしたこの研究では、睡眠中の酸素飽和度が90%未満となる時間が長いほど、網膜神経線維層が有意に薄い(=緑内障が進行している)ことが明らかにされました。「夜間の低酸素が視神経の弱りに関わる」という科学的な裏付けが示された形です。

この結果は、緑内障を「眼だけの病気」と捉えるのではなく、睡眠の質や呼吸状態まで含めて総合的に評価する必要性を示しています。特に、

  • いびきを指摘される
  • 日中の眠気が強い
  • 朝のかすみや頭重感がある

といった症状を持つ方は、睡眠時無呼吸症候群を併発している可能性があります。

緑内障治療を続けていても視野がじわじわ悪化する場合、眼圧だけでは説明できない“夜の酸素不足”が関わっていることがあります。実際、眼圧が正常でも視神経がダメージを受けてしまう「正常眼圧緑内障」では、血流や酸素の問題が特に重要と考えられています。

さらに注目すべきは、Himoriらの報告*²です。睡眠時無呼吸症候群をもつ緑内障患者に対して持続的陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP)を導入したところ、視野進行が抑制されたという結果が示されています

「眼圧低下薬をちゃんとつけているのに視野がじわり変化する」――そんなときには、ぜひ目だけでなく「眠り・呼吸」を振り返ってみてください。 “夜の酸素不足を見逃さない”ことが、緑内障の進行予防につながります。

 おおうら眼科でも多くの緑内障患者さんに対して、点眼加療から手術加療まで幅広く行っています。何かわからないことがあればお気軽にご相談くださいませ。

*1 Nagasaki, T., Hara, C., Takamiya, C., Miki, A., Yamada, T., Kawashima, M., & Tsubota, K. (2024). Associations between nocturnal hypoxemia and retinal nerve fiber layer thinning: The Nagahama Study. Annals of the American Thoracic Society, 21(4), 541–549. https://doi.org/10.1513/AnnalsATS.202302-165OC

*2 Himori, N., Utsumi, T., Ayaki, M., Negishi, K., & Tsubota, K. (2020). Effect of CPAP therapy on progressive normal-tension glaucoma with obstructive sleep apnea syndrome. Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology, 258(2), 467–468. https://doi.org/10.1007/s00417-019-04580-2

緑内障と睡眠時無呼吸症候群(SAS)

その中でも近年注目されているのが 睡眠時無呼吸症候群(SAS) の影響です。

SASでは、睡眠中に呼吸が一時的に止まるため、体が“夜のあいだ中、低酸素状態にさらされる”ことになります。この夜間低酸素は全身の血管に負担をかけ、視神経に送られる血液も不安定になりやすくなります。

では、実際にどのくらい視神経に影響があるのでしょうか?

最新の大規模研究であるNagasakiらの「Nagahama Study」(Annals of the American Thoracic Society)*1 では、約8,300人を対象に、睡眠中の酸素飽和度が90%未満になっていた時間(CT90)が長いほど、網膜神経線維層が統計的に有意に薄いことが明らかになりました。RNFLの薄化は緑内障の進行と深く関連するため、「夜間低酸素が視神経の弱りに関わる」という科学的な裏付けが示された形です。

ここで少し質問です。

  • 朝起きたとき、目のかすみや頭の重さはありませんか?
  • いびきを指摘されたことは?
  • 日中、急に眠気が強くなることは?

もし一つでも当てはまるなら、SASが隠れている可能性があります。

緑内障の治療をきちんと続けていても視野が少しずつ悪化する…。そんな場合、眼圧だけでは説明できない“夜の酸素不足”が関わっていることがあります。実際、眼圧が正常でも視神経がダメージを受けてしまう「正常眼圧緑内障」では、血流や酸素の問題が特に重要と考えられています。

さらに注目すべきは、Himoriらの報告*²です。SASをもつ緑内障患者に対してCPAP療法を導入したところ、「酸化ストレスの指標が改善し、視野改善がみられた」とする結果が示されています
つまり、SASを放置せず、呼吸・眠りを整えることで眼科的な治療効果をさらに高められる可能性があるわけです。

「眼圧低下薬をちゃんとつけているのに視野がじわり変化する」――そんなときには、ぜひ目だけでなく「眠り・呼吸」を振り返ってみてください。眼科と睡眠専門医の連携が、視神経を守るための新しい武器になるかもしれません。
“夜の酸素不足を見逃さない”ことが、緑内障の進行予防につながる大切な一歩なのです。

*1 Nagasaki, T., Hara, C., Takamiya, C., Miki, A., Yamada, T., Kawashima, M., & Tsubota, K. (2024). Associations between nocturnal hypoxemia and retinal nerve fiber layer thinning: The Nagahama Study. Annals of the American Thoracic Society, 21(4), 541–549. https://doi.org/10.1513/AnnalsATS.202302-165OC

*2 Himori, N., Utsumi, T., Ayaki, M., Negishi, K., & Tsubota, K. (2020). Effect of CPAP therapy on progressive normal-tension glaucoma with obstructive sleep apnea syndrome. Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology, 258(2), 467–468. https://doi.org/10.1007/s00417-019-04580-2


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