コラム COLUMN
弱視の原因って何? 治療法は? 小児の弱視②
2023.07.22
スタッフ
こんにちは! おおうら眼科 スタッフのもーりーです。
前回のコラム【小児の弱視①】では、弱視は単に目が悪いということではなく、眼鏡やコンタクトレンズをつけても視力が1.0出ない状態であるとご説明いたしました。
視力は生まれてから徐々に発達していき、正常であれば3歳ごろに1.0前後見えるようになるため、見えていない場合は弱視の可能性があります。
視力を含む【目で物を見る力】はだいたい6歳ごろに完成するので、弱視の可能性がある場合はいち早く見つけて治療することが重要となります!
今回は、何のせいで弱視になるのかと、その治療法についてご説明いたします。
弱視って何が原因?
小児の弱視の場合、ほとんどが先天的な要因によって引き起こされます。
弱視の原因は、大きく分けて4種類あります。
①強い遠視・近視・乱視による弱視(屈折異常弱視・経線弱視)
②左右で目の屈折度数(眼鏡の度数)が大きく違うことによる弱視(不同視弱視)
③斜視による弱視(斜視弱視)
④病気などでものを見ることができなかったことによる弱視(形態覚遮断弱視)
1個ずつ順番にご説明いたします!
①強い遠視・近視・乱視による弱視(屈折異常弱視・経線弱視)
まず遠視・近視・乱視について簡単に説明いたします。
遠視(えんし)とは、眼球の長さが正常な状態より短いため目の奥にある網膜という部分よりも後ろでピントが合ってしまい、遠くも近くも見えにくい状態をいいます。
近視(きんし)とは、眼球の長さが正常な状態より長いため目の奥にある網膜という部分より手前でピントが合ってしまい、近くは近付ければ見えるものの遠くはぼやけて見えにくい状態をいいます。
乱視(らんし)とは、水晶体や角膜などの目の形がひずんでいるせいで、ピントが1か所で合わず二重にぶれて物が見える状態をいいます。
強い遠視の場合、遠くも近くもぼやけて見えにくいので、ものをはっきり見て視力を発達させる機会が奪われてしまい、弱視を引き起こす可能性が非常に高いです。
強い近視の場合、近くのものは見えるので、弱視になる可能性は低いですが0ではありません。
強い乱視の場合、ものが二重にぶれて見えるので、ものが鮮明に見えず視力が発達しにくく弱視を引き起こす可能性が高いです。
②左右で目の屈折度数(眼鏡の度数)が大きく違うことによる弱視(不同視弱視)
先ほど、遠視・近視・乱視についてご説明いたしましたが、これらを数値で表したものを『目の屈折度数』といい、D(ディオプター)という単位で計測します。
屈折度数は、数字が大きくなるほど遠視・近視・乱視が強いことを表しています。
多くの場合左右で目の度数は多少異なりますが、左右で大きく差がある場合、両目でものを見たときにバランスが取れないので、より度数が強くて見えにくい方の目を使わなくなってしまいます。
そうすると、片目は視力が発達しますが使っていない方の目は視力が発達しにくいので、弱視を引き起こしてしまいます。
左右で2D以上、屈折度数に差があると不同視弱視を引き起こす可能性が高くなりますが、片目は見えているので日常生活では気付きにくい場合が非常に多いです。
③斜視による弱視(斜視弱視)
斜視(しゃし)とは、両目が同じ方向を向いておらず片目だけ外側や内側に向いている状態のことをいいます。
斜視があると、片目が違う方向を向いているため両目でものを見ても二重にぶれて見えてしまいます。
ぶれて見えることで混乱するのを防ぐため、脳は斜視がある方の目を使わないようにしてしまいます。
これにより、斜視がある方の目だけ視力が発達せず、弱視となってしまいます。
④病気などでものを見ることができなかったことによる弱視(形態覚遮断弱視)
先天性の白内障や眼瞼下垂(上まぶたが下がって目を開けようとしてもまぶたが十分に上がらない病気)などの病気や、目をケガして眼帯をつけていたなどの理由により、ものを見ることができなかったことで起こる弱視です。
先天性の白内障や眼瞼下垂などの病気があると、病気に邪魔されてものを見ることができないので、視力が発達せず弱視を引き起こしてしまいます。
また、目をケガして眼帯をしていたなど目を遮蔽している場合も、同様に視力の発達を邪魔して弱視を引き起こしてしまう場合があります。
弱視の治療って何するの??
弱視の原因が分かったところで、弱視の治療法についてご説明いたします。
弱視の治療は、基本的には眼鏡をかけることです。
ただし、必要に応じて視力の良い方の目をアイパッチで隠す『健眼遮蔽(けんがんしゃへい)』といった治療などを行うこともあります。
弱視の種類別に想定される治療法をご紹介いたします。
①強い遠視・近視・乱視による弱視
→原因である遠視・近視・乱視を矯正する眼鏡をかけます。
②左右で目の度数が大きく違うことによる弱視
→原因である遠視・近視・乱視を矯正する眼鏡をかけます。
必要に応じて、視力の良い方の目をアイパッチで隠して、弱視になっている方の目をたくさん使う訓練をすることもあります。
③斜視による弱視
→斜視の程度が大きく手術による治療が必要な場合は、手術を行います。
(当院では斜視の手術を行っておりませんので、斜視手術を行っている病院へ紹介状をお書きいたします)
遠視・近視・乱視がある場合や、眼鏡である程度矯正できる斜視であれば、それを矯正する眼鏡などをかけます。
④病気などでものを見ることができなかったことによる弱視
→まずは原因である疾患の治療を行います。
その後、眼鏡をかけたり、視力の良い方の目をアイパッチで隠して弱視になっている目をたくさん使う訓練をするなど、必要な治療を行っていきます。
弱視の治療の基本は【眼鏡やコンタクトレンズを使って、ものをはっきりと見せて視力を発達させる】ということです。
『目でものがはっきり見えない』ということは、視力だけでなく脳など他の部分の発達も妨げてしまう可能性がありますので、早期発見・治療開始が重要です!
次回は弱視治療の流れと病院選びのコツについてお伝えいたします! お楽しみに☆
「保育園・幼稚園の視力検査で引っかかったんだけど……」「よく転ぶので見えてないのか気になるんですが……」など、ほんの些細なことでも構いませんので何か気になることがあればお気軽に受診してくださいね☆
受診予約は右側にある「受診予約」から!(スマートフォンでご覧の方は下部に御座います。)
ご予約の方が優先になりますが、ご予約無しの方でも受付させていただきます。
弱視や小児眼科についてはこちらもご覧ください。