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コラム COLUMN

網膜剥離? 硝子体出血って何? 糖尿病で視力を失わないために④

2023.07.01

スタッフ

こんにちは! おおうら眼科 スタッフのもーりーです。
前回コラム【糖尿病で視力を失わないために③】では、糖尿病のせいで、本来ないはずの場所に血管ができることで起きる緑内障『血管新生緑内障』について、ご説明いたしました。

今回は、急激に視力が低下してしまう可能性がある【硝子体出血】【網膜剥離】について、ご説明いたします!

糖尿病で視力を失う原因③ 硝子体出血

まずは、硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)についてご説明いたします!

糖尿病になると血管が傷ついたり詰まりやすくなってしまうので、血液を通して酸素が行きわたりにくくなります。
眼球の奥の方には、物を見るための神経が集まった網膜という組織があり、酸欠状態になった網膜では酸素を他のところからゲットしようと、本来なら血管の無かったところに無理やり血管を作ります。
この新しく作った血管を新生血管といい、新生血管は正常な血管とは全く異なり、もろくて出血しやすい状態です。
眼球の中には硝子体(しょうしたい)というゼリー状の組織があり、新生血管が何かの拍子に出血して、出てきた血が硝子体に混ざってしまうことがあります。
これが硝子体出血です!


硝子体出血が起きると「視界に墨汁が垂れてきた」「急に視界が砂嵐のようになった」「水の中にいるみたい」「急に見えにくくなった」などの自覚症状が出ます。
ただし、出血が少量だった場合などは気付きにくいこともあるので注意が必要です。

左のイラストのように、新生血管から出血した状態が硝子体出血です。
左記のように大量に出血すると気付きやすいですが、出血が少量であった場合などは気付きにくいこともあります。

糖尿病で視力を失う原因④ 網膜剥離

では次に、網膜剥離(もうまくはくり)という病気についてご説明いたします!

網膜は、眼球の奥の方にある、物を見るための神経が集まったシート状の組織です。
通常、網膜は眼球の内側にぴったりと張り付いていますが、これが何らかの理由により剥がれてしまった状態を網膜剥離といいます。
網膜剥離が起きると「急に見えにくくなった」「視界の一部が見えない」「ものがゆがんで見える」「糸くずやゴミのようなものが視界に見える」「視界にカーテンがかかったような感じに見える」などの自覚症状が出ます。
この時、痛みなどは全くありません。

網膜剥離が起きる原因は様々なものがあり、加齢、強度近視、アトピー性皮膚炎のほか、例えば目にボールが当たったなど眼球が強い衝撃を受けたことなどもあります。
糖尿病が原因の場合は、網膜に作られた新生血管によって引き起こされる牽引性網膜剥離(けんいんせいもうまくはくり)が挙げられます。

ケガをして出血したとき、やがて傷口にはかさぶたができますよね?
それと同じで、眼球内でも新生血管から出血すると周りにかさぶたのようなものができ、やがて増殖膜(ぞうしょくまく)という膜を形成します。
その増殖膜がさらに増殖して、周囲の網膜を引っ張ってしまうことで、牽引性網膜剥離が起こります!

増殖膜が周囲の網膜を引っ張ってしまうことで、牽引性網膜剥離が起きます。
赤丸で囲んだ黄斑(おうはん)という、見るために一番大事なところが剥がれると急激に視力が落ちていきます。

牽引性網膜剥離と硝子体出血の治療法

牽引性網膜剥離と硝子体出血の治療法は、硝子体手術です。
硝子体出血に関しては、出血がごく少量であれば自然と吸収されることもあります。
ですが、出血が多量で視力に大きく影響している場合、自然吸収は難しいため手術が必要になります。

牽引性網膜剥離では、見るために最も大事な黄斑(おうはん)という部分が剥がれると急激に視力が低下します。
そして放置していても悪化する一方であり、最悪の場合失明してしまう可能性もあるので、発覚したら手遅れになる前に早急に手術を行うことが必要です!

硝子体手術では、白目に3か所、注射針ぐらいのサイズの穴を開けて手術器具を眼内に入れます。
眼球内の圧力が変わらないよう、灌流液(かんりゅうえき)という水を入れながら、出血を吸引したり剥がれた網膜をもとに戻すなどの処置を行っていきます。

必要に応じて、これ以上網膜が剥がれたり出血しないようにレーザーを照射したり、ガスを吸入します。
(ガスを吸入する手術の場合、治療効果をしっかりと発揮させるために術後はうつ伏せで数日間過ごすなど過ごし方の指示があります)

目の状態によって行う処置も変わってきますが、手術は1時間から2時間程度かかります。
時間のかかる手術ではあるものの当院では日帰りで行うことが可能で、治療費は3割負担の患者様で12万円前後かかります。
硝子体手術についてより詳しく知りたい方は、当院HPの【網膜硝子体手術について】を一度ご覧ください。


今回ご紹介した【牽引性網膜剥離】や【硝子体出血】、前回ご紹介した【血管新生緑内障】といった失明に繋がる可能性のある病気が起きるのは、糖尿病がかなり悪化した状態です。
これらの病気を引き起こさないためには、糖尿病を悪化させないことが肝心です!

日々血糖値のコントロールを行うのはもちろんのこと、定期的に眼科を受診して眼の奥に異常が起きていないかどうか、確認しましょう☆

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