コラム COLUMN
自分はICL?LASIK?
2024.10.28
ドクター
こんにちは。おおうら眼科院長の大浦嘉仁です。
近視矯正の手法としてLASIKやICLを耳にする機会も増えてきました。
自分にはどちらがあっているのか、治療法のメリットデメリットがよくわからないことが多いと思います。その部分を少し解説していきます。
LASIKとは簡単に説明すると「角膜(黒目)をけずって近視を治す」という治療です。
眼の屈折力は角膜が40D、水晶体が20Dくらいで、角膜が屈折力に大きく影響しています。LASIKはその角膜を削ることで、屈折力を調整して近視を治す方法です。
初期のLASIKはケラトームという角膜の表面をそぐような器械を使って表面を削いだ後に、露出した角膜実質にレーザーを当てて角膜を削って角膜の厚みを減らし、削いだ角膜を元に戻すという方法でした。この方法の問題点が、はじめに角膜を削ぐ(flapを作成する)ときに大きく角膜を切開しているため、「衝撃に弱い」「角膜の知覚神経を切除するのでドライアイになりやすい」「光がにじんだりするような嫌な見え方(ハロー・グレア)がでやすい」という欠点がありました。しかし、近年ではSMILEという新しいレーザー(フェムトセカンドレーザー)を用いた手術方法により、角膜大きく削るフラップを作成せずとも、角膜実質のみを角膜内で切除し、小さい切開創から不要な部分のみを取り出すことができるようになりました。
これによって、先に述べたLASIKの欠点は大きく改善されています。
ICL(眼内コンタクトレンズ)は、簡単に言うと読んで字のごとく「眼内にレンズを入れて矯正する」方法です。この方法だと角膜を削らないので、それによるLASIKのデメリット(衝撃に弱い、ドライアイ、ハローグレア)が軽減されます。手術の方法は、白目と黒目の境界部分を3mm切開し、水晶体と虹彩(茶目)の間にICLを挿入します。
ICLの良いところは高度の近視(強度近視)にも適応があることです。LASIKの場合-6D以上の近視になると、角膜が薄い人にはできない場合があり、-10D以上はしてはいけないことになっています。ICLはレンズ計算をして制作範囲のICLであれば基本的には-10Dを超えても対応可能です。逆にICLは-6D以下は慎重適応となっており、-3D以下は対応できない手術になっています。
どちらがよいかということですが、当然どちらかのほうが圧倒的に勝っているということはありませんが、一つの基準としては、-6D以上はICL、それ未満はLASIK(SMILE)がよいと考えます。
手術の合併症などですが、LASIKは短期的には眼の外側のみで完結する「外眼手術」に相当するため、一発で失明するような眼内炎などの合併症はありません。当然、術後の創部の感染予防は必要ですが、それはICLも同じです。
ICLは眼の中の操作をする「内眼手術」ですので、眼内炎という数千人に1人起こりうる眼の中の感染症による失明リスクがあります。長期的な合併症としては、LASIKの場合はエクタジアという角膜を削って弱くなったせいで角膜が膨らんでしまう不正乱視が生じるリスクがあります。そうならないように角膜を削る量などは慎重に計算していますが、絶対に起こらないとは言えません。
LASIKよりもSMILEのほうがLASIK関係でおこりうる合併症のリスクは少なくてすむので、LASIKを受ける場合は、多少費用が高くてもSMILEをお勧めします。ICLの場合、眼内のICLが炎症を起こしたり、水晶体に影響を与えることで、緑内障や白内障のリスクがあります。現在のICLは計算方法やレンズの改良がなされており、これらの発症リスクは極めて低くなっていますが、これも絶対ではありません。これらLASIKとICLのリスクはなかなかどちらが重いかは比較しがたいものがあります。
エクタジアは一度発症すると基本的に治療困難ですし、緑内障や白内障も治療法はありますが、本当の意味で発症前と同じ状態に戻すことは不可能なので、どちらもある程度不可逆的なリスクをはらんでいます。
メリットに注目すると、近視の弱い方はLASIKのほうがしっかりと1.0でる確率が高いでしょうし、微細な角膜乱視も矯正できるので近視が強くない方はSMILEのほうがおすすめでしょう。高度の近視の方はICLによって裸眼で1.0が90%以上は達成可能なので、そちらがお勧めです。
細かい話をしだすとまだいろいろありますが、概略はつかんでいただけたでしょうか。最後に、LASIKは設備投資が必要なため行っている施設数は多くはありませんが、ICLは手術を行っている医療機関が、講習を受けて認定を受ければ可能なため、田舎や遠方であっても身近な医療機関で受けられる場合があります。
ICLは当院でも行っています。ICLをされた患者様は、眼鏡やコンタクトレンズから解放され満足されている声を多くいただきました。ご興味がありましたら、ぜひ受診してください。
おおうら眼科は一人ひとりのお悩みに丁寧にお答えします。
当院では、さまざまなケースに対応できるよう患者様に治療の選択肢をご提示しております。各治療のメリット・デメリットをしっかりとご説明させていただき、ご理解いただいてから治療を行っております。
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大阪市淀川区・阪急三国駅から徒歩約2分の眼科「おおうら眼科」では、眼科全般の診療を行っています。
院長は、これまで大学病院やさまざまな症例に関わり、多くの手術を手がけてきました。
これまでの臨床経験で得てきたノウハウを用いてそれを可能な限り実現し、患者様に満足していただけるように最大限努めています。
おおうら眼科では眼科全般の対応はもちろん、白内障、網膜硝子体、緑内障の極小切開の手術が受けることが出来ます。クリニック内で行うことで術後のフォローやケアも一貫して行なえます。その他、小児の斜視や弱視の治療にも注力しています。